画像化したページをスライドや資料に貼る
ページを画像として書き出すところまでは簡単です。がっかりするのはその次、スライドや報告書に貼り込んだときに、ぼやけていたり、重かったり、その両方だったりしたときです。原因はほぼ例外なく、書き出した解像度と、最終的に表示される大きさのミスマッチにあります。
必要な解像度は貼り込み先が決める
画像そのものに固有の鮮明さはありません。効いてくるのは、見られるサイズでのピクセル密度 — つまりピクセル数を、最終的に占める物理的な、あるいは画面上の寸法で割った値です。同じ幅2000ピクセルの画像でも、スライドの4分の1に収まるなら十分すぎ、印刷ページ全面なら足りません。
ですから問うべきなのは「どの解像度で書き出すか」ではなく「これは見られるとき、どれくらいの大きさになるか」です。そこから逆算します。スライドの横幅の半分を占める図なら、全幅を埋める図の半分のピクセル数で足ります。
貼り込み先が表示できる範囲を大きく超えて書き出すことは、無害ではありません。余分なピクセルは表示時に捨てられますが、ファイルには載り続け、編集を重くし、送るものを膨らませます。行き過ぎにも確かなコストがあり、ぼやけより目立たないだけです。
スライド
プレゼンソフトは固定のキャンバスで動きます。16:9のスライドは多くのツールで1920×1080ポイントなので、スライド全幅に渡る画像は、標準的なプロジェクタでドット等倍にするならおよそ1920ピクセル、高精細なノートPCの画面でくっきり見せたいならその倍ほどが必要です。
一般的なA4ページをスライドの大部分に配置するなら、スケール2xから3xが妥当な範囲です。幅1200〜1800ピクセル程度になり、投影には余裕をもって対応できます。6x以上に上げても、1枚あたり数メガバイト増えるだけで、プロジェクタが解像できるものは何も増えません。
例外は、発表中に拡大するつもりのページや、聴衆に読ませる前提の密な表です。この場合、実効的な表示サイズはスライドよりはるかに大きくなるので、高いスケールに意味があります。
ワープロと印刷する資料
印刷される資料が最も要求の厳しいケースです。紙は画面よりはるかに細部を再現するからです。古くからの目安は一般印刷で300dpi、商業印刷で350dpi。いずれも元ページの大きさではなく、印刷される最終サイズで測った値です。
ここで引っかかる人が多い。A4ページを紙に原寸で再現するなら、300dpiでおよそ2480×3508ピクセル必要で、スケール4x以上にあたります。一方、同じページを4分の1ページの図に縮めるなら、縦横それぞれ4分の1で済むので、スケール1xか2xで十分です。
ワープロは、保存や書き出しのときに画像を黙って再圧縮するので、話をややこしくします。多くは文書に配置された画像を220dpi前後に落とすのが既定で、せっかく高解像度で書き出したものを警告なく台無しにします。印刷品質が重要なら、PDFに書き出す前にその設定を探して無効にしてください。
にじみ、ハロー、そして二度目の圧縮
単体では綺麗に見えた画像が資料の中でぼやけている場合、たいてい非可逆の工程を2回通っています。1回目はJPGへの書き出し、2回目は資料自体を保存・変換するときの再圧縮です。各回で情報が捨てられ、2回目は1回目が作ったノイズに対して働きます。
最も割を食うのは文字です。JPEG圧縮は、緩やかな濃淡変化が当たり前の写真向けに設計されており、文字の黒と白が接する硬い境界の扱いが苦手です。結果として文字の周囲にうっすらとした灰色の霧が出ます。見出しや、細い罫線のある表で特に目立ちます。
対処は、文字の多いページに非可逆圧縮を使わないことです。PNGは描画されたピクセルをそのまま保持するので、ハローは絶対に出ません。代償はファイルサイズです。WEBPは中間で、同程度のサイズならJPGより綺麗なのが普通です。ページがほぼ写真なら、JPGの画質0.8〜0.9で問題ありません。
実務的な手順
まず、その画像が着地先でどれくらいの幅になるかを大まかに測ります。スライドの何分の1か、段組の1カラム幅か、ページ全面か。その幅に目標の密度 — 画面だけなら1インチあたり150ピクセル前後、印刷なら300 — を掛けて、必要なピクセル幅を出します。
それをページの横幅(インチ)で割ればdpiが出て、72で割ればスケールになります。A4の横幅は8.3インチなので、300dpiのページ全面の図ならおよそ2490ピクセル、つまり300dpi、スケールにして4.2 — 切り上げて5xです。同じページを画面用の半幅の図にするなら1x前後に落ち着きます。
そして、文書全体を変換する前に1ページだけ確認してください。選んだ設定で1ページ書き出し、実際に置く場所に置き、読み手が見るのと同じ大きさで眺める。1分で済み、50ページの変換をやり直す手間を防げます。